【本】「騎士団長殺し」の感想
ネタバレ注意
ハッピーエンドでした。
これ以上はないんじゃないかってくらい。
村上春樹の作品にありがちな、謎が謎のまま残ってる状態は相変わらずですが、ハッピーエンドでいいと思います。
「騎士団長殺し」について考える時、自分はどうしても村上春樹の過去作品である「ねじまき鳥クロニクル」と「1Q84」と比べてしまいます。
これらの3作品を並べて比べてみると、「騎士団長殺し」がすごいハッピーエンドに見えます。
というわけで、それぞれについて見ていきます。
ねじまき鳥クロニクル
「ねじまき鳥クロニクル」の主人公は、細かい状況は違いますが「騎士団長殺し」の主人公同様に奥さんを失います。
そして奥さんを取り戻そうとします。
で、なんのかんのあって、敵を打ち倒します。
ですが、物語が終わっても奥さんは主人公の元に戻ってきていません。
「牛河」というキャラクターの初登場作品。
1Q84
「1Q84」は他の2作品と物語の構造はちょっと違うものの、「牛河」という登場人物が出てきたために並べてみてしまいます。
牛河は「ねじまき鳥クロニクル」にも登場したキャラクターです。
「ねじまき鳥クロニクル」ではただの脇役だったんですが、「1Q84」では主役級の扱いになり、大出世しました。
「牛河やったじゃん」と思っていたのですが、最後は本当にひどい死に方でした。
流石に牛河が可哀想です。
それはさておき、「1Q84」の主人公は物語の終わりで奥さん的存在の青豆さんと一緒になります。
おまけに青豆さんは主人公の子供を妊娠しています。
「ねじまき鳥クロニクル」の主人公と比べるとハッピーです。
まあ、解決してない謎とかあって、不穏な空気を残したままの終わりでしたが。
騎士団長殺し
「騎士団長殺し」は「ねじまき鳥クロニクル」と同様に主人公は奥さんを失います。
で、なんのかんのあって、奥さんとまた一緒になり、なんと子供まで生まれています。
ただ相変わらず解決してない話があって、まだ何か起こりそうな雰囲気を残したまま終わります。
まとめると
それぞれの作品をまとめると、下記のようになります。
・「ねじまき鳥クロニクル」
戦いは終わったが、奥さんは戻ってきてない。
・「1Q84」
奥さん的存在と一緒になった。子供はまだ生まれていない。
・「騎士団長殺し」
奥さんが戻ってきた。子供も産まれた。
こうして並べてみると、だんだんハッピーエンドになってます。
奥さんが戻って、子供まで産まれたので、もう物語が動きようがない気がします。
完膚なきまでに終わったというのが自分の感想です。
ただしつこいようですが、謎のまま終わってスッキリしない点は多々あります。
ここではどんな終わり方かしか書いてませんが、ここに挙げた3作品はどれも長編なので、途中いろんな人がいろんなことをやってます。
ぶっちゃけ、「この話要る?」と思う話もあったりします。
自分に読解力がないこともありますが、明らかに伏線回収してないところとかあると思います。
これはもう村上春樹を読む以上はどうしようもないことなので諦めています。
最近はほとんど小説を読まないんですが、村上春樹の長編だけはなんだかんだと、新刊が出るたびに買って読んでいます。
「騎士団長殺し」でハッピーエンドにたどり着いてしまったので、「このあと何を書くんだろう?もう書くことなくね?」と個人的に思ってしまうんですが、それでもやっぱりまだ村上春樹作品を読みたいので、また長編を書いて欲しいなと思っています。